環境問題対策部

通称、問題部

その後、全員の名前を教えられた。
ザ・草食系男子な2年生は、龍田 冬磨(リュウダ トウマ)という名だ。
見た目との違いが凄まじい名前だな。特に苗字が。

もう1人の2年男子は、メガネ。おそらく存在感の6割はメガネ。(3割はパソコン)
名は近東 遼都(コンドウ ハルト)。

小野崎さん以外の女子2名は、どこにでもいそうな女子だった。
まず1人目。おそらく、染めたのではない天然の茶髪。ショートヘア。
名は都沢 奈々佳(ツザワ ナナカ)。

2人目は、小野崎さんと同じ黒髪のロングヘア。だけど癖っ毛のようだ。
名は葛岡 冬弥(クズオカ トウヤ)といってずいぶん男らしい名前だ。
実際、葛岡さんは見るからにボーイッシュな感じなのでまぁ違和感はない。

みんな個性的な名前だな・・・覚えるのが楽そうだ。

「あー最後に。みんなニックネーム見たいなのあんだよね、部活専用のヤツが」
とんでもないことを言い出した。ちなみにこれは葛岡さん。
ていうか部活専用ってなんだ。コードネームみたいな感じか?
「そうそう。コードネーム!かっこいいだろー?」
ニシシ、と笑う葛岡さん。あぁ名前がぴったりで本当にいいね、こりゃ。
つかかっこいいとかそんな感じかよ・・・。

葛岡さんによると、小野崎さんは部長らしいので(正直驚いた)ボス、らしい。
随分適当である。
龍田さんはドラゴンとか本当に適当だ。ていうか見た目とあってないぞ・・・オイ・・・。
近東さんはワン。ワン・・・?
「あーワンはね、1位マニア、つまりあらゆる物の1位を調べたがる変わり者でさ。ナンバーワンのワン」
あぁ、こっちも適当だったんですね・・・。
待てよ?1位マニアってことは・・・。
「あ、君の事、3年前から僕は知ってるよ。中学時代、3年連続剣道1位だろ?いやぁ、1位が目の前にいるなんて感激だなぁ・・・!」
あぁ、やっぱりそうでしたか・・・。

「何で入らなかったんだい?剣道部。君ならおそらく高校でも全国制覇できると思うけどね」
「えーと・・・まぁいいんですよ。家が道場なんで、高校でやらなくてもまぁ大丈夫だと」
小野崎さんに憧れて、なんて口が裂けても言えない。

「あーっとワン、ちょっと黙ってて。・・・さっきの続きだけど」
続きを聞かされた。
都沢さんはセブン。葛岡さんは、ダン。
ん?セブンは適当だけど良いとして・・・ダン?
「かっこいいじゃん?どうせ特徴ないし、かっこいいのつけたかったんだ!」
葛岡さんが嬉しいならいいですけどね。
「あぁ、部活ではこの名前じゃないとみんな振り向いてくれないから気をつけろよ・・・えと・・・」

「あ、付けないといけないんじゃないですかね・・・」
消えかかっているような声で都沢・・・じゃなくてセブンさんが言った。
つ・・・セブンさんは、一番この部って感じの人だなぁ。自然好きそうで。
「そうだね。じゃぁ・・・どうします?ボス」
美しい小野崎さんにはちょっとボスって言う響きはちょっと不釣合いだ。
と思ったが。
「うーん。そうねぇ・・・適当で良いんじゃない?」
雰囲気変わりすぎだ・・・っ!
ボスと呼ばれるだけでこんなに雰囲気が・・・。
先ほどの笑みは白のイメージだったが、今は黒い笑みを浮かべている。
あああどうしよう、入部やめようかな、こんな人だなんて!
「まぁそうね・・・剣道1位なんでしょう?・・・ケンとかでいいんじゃない?」
て、適当すぎませんか・・・?!
「あ、コードネーム付けたからには、入部、してくれるわよね・・・?」
黒い、この人は黒すぎる!
お、小野崎さん・・・だよね・・・あああもう・・・。
でも絶対この雰囲気は断れない・・・よな・・・。
あぁ、美しいと思ってしまったのはやはり不覚だったな、こりゃ。
今、目の前にいる小野崎・・・いや、ボスという生物は悪魔だ。


俺は翌日、渋々荻野に入部届けを提出してしまう。
それがこれから、俺の人生を大きく狂わせるのだが、それはまだ先の話。