第三次世界大戦

尊敬

夢が叶った。
小さい頃からの夢。
この大学に入る。それは中学生のころからの夢。

この大学は、故郷(イギリス)でも有名だった。
中学生の耳に入るくらい、有名な大学。
いつしか、理由は分からないけど、あの大学に入らないといけないって思った。
高校時代は、勉強して、絵を描いて、勉強して。そんな生活だった。
この大学は、絵だけができてるだけじゃいけないから。

そして、この大学に現役で入れた。夢かと思った。
同い年は20人くらいしかいない。
現に、私のクラスに同い年はいない。
1年以上の年の差は、かなり大きい。
その分、得られるものは多いけど。

たとえばあの東洋人。
この学校に東洋人なんて現役の半分の10人もいない。
このクラスに1つだけの黒髪。
色素の薄い目が目立つ中、漆黒の瞳。
彼女そのものが、アートのように見える。

絵の才能だって、すごい。
東洋らしい絵のタッチ、そこに融合する西洋の雰囲気。
西洋人じゃ思いつかないような絵を描いている。
しかも1歳違い、このクラスで私の次に若い。
東洋人の顔つきは少し若く見えるし、私と同い年にも見える。年下にさえ。
勉強も、クラス1。
あんなに必死に勉強した私よりずっと上。

彼女に尊敬という感情を抱かずに、誰を尊敬するのだろう?

とにかく、私は彼女の絵が好き。
繊細な表現かつ大胆な発想。あぁ、素晴らしい。

彼女は3ヶ国語を話せるそうだし。あぁ、なんて・・・!

さぁ、私も頑張らなくちゃ。
尊敬しているのは、その人を超えたいから。そうでしょう?
だから、いつか彼女を絶対に抜くわ。
いつか、彼女に私を尊敬させてやる。
西洋人が、東洋人に負けるなんて。


まずは、日本語でも覚えようか。




刻々と迫るHR開始時刻。
運命の時間まで、あと1時間