第三次世界大戦

嫉妬

やっと、やっと入学できた。
夢の、この大学へ。
絵が勉強したくて、アメリカ留学を決めて。
1浪したけど、全然問題ない。
だって、倍率高いし。19歳にして入学できたのはかなりいい方。

ただひとつ、気に入らないことがあるとすれば・・・
この隣に座るイギリス人のリネットね、きっと。
現役でこの大学に合格してきた、いわゆる天才・・・なんて認めたくないけど。
全然飾らないところが気に入らない。
全然自慢しないところが気に入らない。
ああ、気に入らない!
いや、きっとリネットには裏があるの、絶対。
ああ、気に入らない!

先生も先生よ。
あの先生ったら、本当にリネットしか見ていない。
所詮カナダ人、きっと髪の色と目の色、肌の色の違いで差別しているのよ。
あたしが。あたしが、日本人だから。

日本人だから、成績だって微妙なのよ。
日本人だから、スタイルだってよくないの。
日本人だから、イギリス人には勝てないの。

ああ、気に入らない!

でも、あたしは何も言えない。
それを、結局受け入れてる。
それが、一番気に入らない!

ああ、気に入らない!



その嫉妬を抱えたまま、今日もあたしは教室へ。
リネットが、既に教室内にいた。
気に入らない。

少人数のクラス編成だから、この学級は10人。
リネットだけが、気に入らない。





刻々と迫るHR開始時刻。
運命の時間まで、あと1時間。